尾崎豊トリビュート・アルバム。多くの音楽ファンが待ち望み多くの音楽関係者が注目している
作品であり、過去に何度もその制作が噂されては立ち消えになった曰く付きのアルバムである。 そのトリビュート盤がいよいよリリースされる。 制作&総指揮を手がけるのは、尾崎豊を発掘して世に送り出し、没後12年経った今なお風化する ことのない唯一無二の存在感を誇るビッグ・アーティストに育て上げた音楽プロデューサー須藤晃。 彼は言い切る。 「このアルバムは、尾崎豊の作品であると同時に、僕自身のアルバムでもある。」と。 彼はこれまでも何度か尾崎のトリビュート・アルバムの制作を打診されている。 しかし、“トリビュート”という言葉があまりにも風に晒されすぎている昨今の風潮や尾崎作品や 尾崎豊そのものの存在感が軽んじられかねないことへの危惧、そしてなによりもファンや遺族の心情を 慮ると、容易に手を出すことが出来なかったようだ。 ところが・・・ 「昨春、アメリカに住む(尾崎の)息子さんと久しぶりに会った際に 彼が“この間、尾崎豊をテーマにした漫画をコミック誌で読んだんだ”と言ってきた。 しかも“ギターを始めたい”とも。正直、驚きました。 それまではできるだけ父親の話題には触れないようにしてきましたけど 彼の方から父親のこと、音楽のことを口にするようになったことで ようやくこの子の中でも父親をアーティスト視できるようになったんだなって感じたんですよ。 そのことが引き金になって。僕の中でも、そろそろ(トリビュート盤を)作ってもいいのかなという 気持ちになってきた。しかも、どうせ作るなら、尾崎のことが好きだったミュージシャンによる 単なるカバー・アルバムにしたくなかったので、自分自身の手できちんとプロデュースすることで 誰もが納得する内容のアルバムにしたかった。」 そのタイミングが尾崎豊の十三回忌と重なったのは、不思議なめぐり合わせだと言う。 「しかも『15の夜』でデビューしたアーティストの息子さんがもうすぐ15を迎えようとしている。 言葉では説明のつかない縁を感じますね。」 絶対的な存在が見当たらない今の音楽シーンに、間もなく、孤高のシンガーソングライター 尾崎豊の崇高なスピリッツが、あらためて鮮烈な足跡を刻むことになる。
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